長年植物標本館に眠っていた新たな植物学上の発見、そして日本のアエオニウム愛好家たちへのまなざし。今月はカナリア諸島から東京まで、アエオニウムの世界をたどります。 これまでニュースレターでお届けしていた月刊ニュースを、今後はどなたでも読めるマガジンで紹介します。
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🇯🇵 日本:アエオニウムの魅力を広める情熱的なコミュニティ
コレクター、育種家、専門図鑑、そしてSNS。日本はアエオニウムの世界で、とても興味深い存在です。 多肉植物への愛情と、観察・収集・情報交換を楽しむ文化が結びついています。
日本のアエオニウムの歴史は、近年の斑入り品種人気よりもずっと長いものです。古くから親しまれてきた黒法師(クロホウシ)は、一般に暗紫色から黒に近いロゼットを持つ Aeonium arboreum ‘Zwartkop’ を指す名前として知られています。そこから色とりどりの新しい園芸品種まで、アエオニウムは日本の多肉植物コレクションに確かな居場所を築いてきました。
多様な品種、栽培家の熱意、愛好家同士の交流からは、活気ある園芸の世界が見えてきます。
日本の育種家が生み出したアエオニウム
日本は海外のアエオニウムを育てたり輸入したりするだけではありません。独自の選抜や育種を通して、その園芸史にも貢献してきました。
よく記録されている例が、高橋成治氏によって育成されたアエオニウム ‘Saint Simon Violet’(サンシモンバイオレット)です。この見事な斑入り品種は2005年に品種登録の出願が行われ、2009年に正式登録されました。近年アジアで斑入りアエオニウムが注目されるよりも以前から、日本の育種家がその可能性を探っていたことが分かります。

ほかにも、2019年に羽金直行氏が作出したとされる‘Chou’(蝶)があります。‘Suncup’ と Aeonium goochiae の交配に由来すると伝えられる品種です。アエオニウムの現代園芸史は、ヨーロッパや中国だけでなく、日本の育種家の仕事によっても形づくられているのです。

PUKUBOOK:知識と情熱を分かち合う
日本の興味深い取り組みの一つが、多肉植物のオンライン図鑑PUKUBOOK(プクブック)です。豊富な植物情報、写真、栽培に関する解説を通じて、アエオニウムを含むさまざまな多肉植物の魅力を紹介しています。
PUKUBOOKは、植物に関する知識をコレクターや愛好家に広く届ける、日本ならではの素晴らしい活動の一例です。
オザキフラワーパーク、E-TANIKU、Tropical Gardenなどの園芸店や専門家も、新しい品種の紹介、栽培のアドバイス、入荷情報、イベントを通じてアエオニウムの魅力を伝えています。
Instagram:とても活発な日本のコレクターコミュニティ
こうした情熱が特によく伝わる場所の一つがSNSです。日本で暮らす多くのコレクターが、植物の写真、季節による色の変化、栽培の経験、ときには驚くほど見事なコレクションを日々共有しています。
その中でも、色彩豊かなアエオニウムの写真で知られるNhits Murakamiさん(@aeonium.nhits)や、岡山で収集を楽しみ、愛好家同士の交流の様子も発信するMiyakoさん(@myaaako_aeonium)の投稿は印象的です。
また、日本に暮らすブラジル出身のFabyzinhaさん(@fabyzinhaz)の美しい多肉植物やアエオニウムの写真は、このコミュニティの国際的な広がりを感じさせてくれます。
さらに、@kokianitazumi、@b.y_cats、@kobuta4740、@mikarin7638など、多くの愛好家がそれぞれの経験を発信しています。実際の栽培環境で育つ品種の姿を知り、国境を越えて経験を共有できることは大きな魅力です。
植物の美しさが共通の言葉となり、人々を結びつける温かなコミュニティです。
日本とフランスをつなぐ情熱
日本の皆さんの関心は、VariegatedAeonium.fr のアクセスにも表れています。現在、日本は当サイトへのアクセス数で世界第6位です。フランスから運営するアエオニウム専門図鑑にとって、とてもうれしく励みになる数字です。
このつながりからは、品種の名前、歴史、起源、系統関係を知りたいという日本のコレクターの関心も感じられます。VariegatedAeonium.frでは、世界中の愛好家をつなぎ、素晴らしい植物の魅力を伝える皆さんの活動を紹介していきたいと考えています。
アエオニウムの世界を支え、その魅力を広めてくださっている日本のコレクター、育種家、園芸関係者の皆さんに、心から感謝いたします。
日本のアエオニウム愛好家の皆さん、素晴らしい情熱をいつもありがとうございます!
×Aichrysonium:新たに記載された自然交雑属
2026年10月8日、Octavio Arango-Toroは学術誌Collectanea Botanicaにおいて、×Aichrysonium montelongaeを記載しました。これはAichryson属とAeonium属の間で生じた、初めて記録された自然交雑個体として紹介されています。同論文では交雑属(nothogenus)×Aichrysoniumも設立されました。原著論文はこちら。
約30年後、植物標本から明らかになった発見
発見の出発点は、1997年からラ・ラグーナ大学に保管されている植物標本TFC 40.631でした。この謎めいた標本が交雑起源であることは、それまで認識されていませんでした。著者はその同定に至る過程を説明し、形態的特徴、生態、両親と考えられる分類群の分布を検討しています。この標本は新しい交雑種(nothospecies)のホロタイプにも指定されています。
推定される両親はAichryson laxum var. laxum × Aeonium urbicum subsp. urbicumです。この組み合わせはカナリア諸島生物多様性データベースにも記されています。表記上の順序から、母親と花粉親のどちらがどちらかを判断することはできません。
新しい名前が意味するもの
交雑属(nothogenus)とは、異なる属の間に生じた交雑に用いる名称で、×印はその交雑起源を示します。交雑種(nothospecies)は種の階級に置かれる交雑分類群です。これらは交雑起源を表す言葉であり、親となる属が消滅したり、名前が変わったりすることを意味しません。栽培しているアエオニウムの名前を変更する必要もありません。
今回の例は、植物標本館の重要性も教えてくれます。収集・保存された植物は、数十年後に改めて研究されることがあります。学名が公表された年は、その植物が採集された年や自然界で最初に現れた年とは必ずしも一致しません。
なぜこの発見が重要なのか
VariegatedAeonium.frにとって、この発見はマカロネシア地域のベンケイソウ科植物の関係をどのように記録するか、という大切な問題につながっています。園芸上の交配起源に関してはさまざまな説がありますが、今回の報告は正式に記載された自然交雑の事例を一つ加えました。ただし、すべての異属間交雑が可能で、稔性があり、栽培下でも再現できることを証明したわけではありません。 それぞれの系統関係について個別の証拠が必要です。詳しくはアエオニウムの交配解説記事(フランス語)をご覧ください。





